糖尿病の基本知識
●インスリンの働きが悪くなる
糖尿病とは、「食物として取り入れられた栄養素が体の中でうまく利用されないために、血液の中に含まれるブドウ糖の量が異常に多くなっている状態」をいいます。ブドウ糖の利用は、インスリンというホルモンの作用によって、たくみに調整されています。糖尿病では、インスリンの作用が十分でないために、ブドウ糖が有効に使われずに血糖値が高くなり、尿の中にブドウ糖があふれ出します。
●怖いのは合併症
血糖値が高いままでいると、いろいろな恐ろしい合併症が起こります。網膜症は、網膜の血管が傷んで、出血や網膜剥離を起こします。ほおっておくと失明することもあります。腎症は、腎臓の働きが徐々に落ちて、進行すると透析をしなくてはいけなくなります。神経障害は、神経が傷んで、手足にしびれや痛みが起こります。感覚が麻痺することもあります。
「血糖値が高いと言われたが、どこも具合は悪くない。」多くの人がこう言います。自覚症状のない状態で全身がむしばれていくのが、糖尿病の怖いところです。血糖コントロールをおろそかにしていると、やがて手足がしびれ、網膜や腎臓が悪くなります。糖尿病の治療で一番大切なことは、定期的に通院して、検査を受けることです。
血糖値と糖化ヘモグロビン(ヘモグロビンA1C)は、血糖コントロールがうまくいっているかどうかを知る大切な指標です。糖化ヘモグロビンからは、検査前約1カ月のようすが分かります。
ヲ薬の使い方と注意ヲ
食事療法や運動療法でうまく血糖値を下げられない時には、薬を使って治療します。血糖値を下げる薬には、経口血糖降下剤とインスリン注射があります。血糖降下剤は、膵臓に働きかけて、インスリンの分泌を強める薬です。膵臓がインスリンを十分に作ってない人は、この薬で血糖を下げます。最近、腸からの糖分の吸収を抑えて血糖をコントロールする、新しいタイプの薬も使われるようになりました。膵臓がインスリンを作る能力を失ってしまった人には、飲み薬は効きません。インスリンを注射することで、血糖値を下げます。携帯に便利であまり痛くないペン型のものがよく使われるようになって来ました。
血糖値は食事のあと一時的に上がり、二時間後には空腹時まで戻るように調節されています。血糖値を調節しているのが、膵臓から分泌されるインスリンです。体内に取り入れるエネルギー量が多ければ多いほど、大量のインスリンが必要となります。糖尿病の治療のためには、摂取するエネルギー量をコントロールし、運動療法によって消費するエネルギー量を増やす必要があります。
糖尿病になると血液中のブドウ糖の値が高くなりますが、これが長く続くとこのため血管が硬化しやすくなるなどの血管(血流)障害が起こります。血管に障害が起きると、栄養の低下した神経機能は低下します。自律神経にも障害をきたし、内臓器官の働きも悪くなります。下肢の血管が狭窄すると「間欠性跛行」といって、少し長い距離や坂道を歩くと下肢のだるさや疼痛のため一時立ち止まり、しばらく休むと痛みがとれまた歩けるようになる症状が出てきます。四肢のシビレ、冷感もみられます。
糖尿病の話題
●食品交換表について
糖尿病のを治療するためには、食事療法が最も重要です。けっして特別な食事ではなく、「過食を避け、偏食せずに、毎日規則正しく食事をする」ということです。食事療法の原則は、第一は適正なエネルギー量の食事であること、第二は、栄養のバランスがいい食事であることです。食事療法のための「食品交換表」を当院においてあります。希望の方にはお分けしています。
●αグルコシダーゼ阻害薬(グルコバイ、ベイスン)
食後の血糖の上昇を抑える薬で、食後二時間の血糖が200mg/dl以上を目安に使用されます。腸管に作用し腸からの糖の吸収を抑制します。腹部膨満感などの症状がよくみられます。夕食前の一回から開始し、次第にならしていきます。
●インスリン感受性改善薬 (ノスカール)
からだの末梢組織でのインスリンの感受性を増加させる全く新しい薬です。肥満傾向があり、インスリン過剰の人がよい適応になります。インスリンは分泌されているのに運動不足や肥満のためインスリンの効果が発揮できない人の場合、本剤を使用することでインスリンの効果が十分にでるようになります。
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